アホヌラの黄昏其の参

北の国から'02〜第34回函館2歳ステークス〜

 暑い東京には嫌気がさした。今年の夏は涼しい函館へ足を伸ばしてみよう・・・。

 というわけで、はるばる青函トンネルを越え、海の見える競馬場として名高い函館競馬場を訪れた。
 8月3・4日は、函館競馬の最終週。日曜日には、2歳馬にとって初めての重賞となる、函館2歳ステークスが行われる。
 初日の土曜日は、JR函館駅から市電に乗って競馬場にたどり着いた。
 期待していた通り、東京の気候とは段違いの涼しさ。むしろ寒いといってよいくらいだ。
 首尾よくゴール前のスタンド席を陣取った。パドックもすぐ近く。やはり競馬の日は早起きをすると良い。
 新聞を見ると、東西のトップジョッキーが集まっているのは当然として、なかなか馬も面白いメンバーが揃っている。
 メインの漁火Sには、重賞でも好勝負を見せているコイントスやメイショウラムセスの名前が見えるし、最終レースの長万部特別には、私が去年の牝馬クラシック戦線で追っかけをしていたリワードアンセルが出るという。
 これは楽しい一日になりそうだ。そう思って優雅に競馬観戦をはじめたのだが・・・。
 ほとんど当たらない。まあこれはいつものこと。
 途中昼飯は、たまたま函館のB級グルメが競馬場内に出店しているというので、「ラッキーピエロ」のチャイニーズチキンバーガーを食べた。地元出身のロックバンド・GLAYが絶賛するだけあって、美味。なかなかボリュームもある。

 そんなこんなで、馬券が一つも当たらないまま、特別レースを迎えた。
 10レースは美利河(ぴりか)特別。
 このレースには地元・北海道競馬の馬が2頭参戦していた。中央の鈴来騎手が乗るポピーと、北海道競馬の服部茂史騎手鞍上のカツマサケン。
 新聞によると、どちらも無印。やはり成績が物足りない。  道営ファンは、どちらかというと心情的に、騎手も道営所属のカツマサケンの方を応援したくなるのだろうな・・・などと考えながら、パドックで格馬の馬体を見る。
 しかしどうしても目は人気のサンデーサイレンス産駒のダンスノワールや、デインヒル産駒のフラワーヒルに行ってしまう。
 結局人気サイドの馬券を手にしてレースを見ると、何とそのカツマサケンが勝ってしまった。
 配当金のアナウンスが場内に流れると、あたりは騒然となった。
 3連複、7500倍。競馬場は、驚きと諦めが入り混った異様な雰囲気に包まれた。
 そのような中で、私はすでに次のレースに頭を切り替えていた。
 一つも馬券を当てていないと、どうも淡白になりがちだ。

 結局その日は、小倉のメインレースを当てたのみで終わった。
 長万部特別では、我が愛しのリワードアンセルは期待に応えて勝ってくれたのだが、私は相手を間違えて外してしまった。
 嬉しさと口惜しさが半々。次は必ず彼女の当たり馬券をつかもうと心に誓う。
 私は競馬場を後にし、競馬場に程近い湯の川温泉地へ向かった。
 銭湯で65度の湯に浸かり、明日のために英気を養った。

 そして日曜日。私はゴール版前にへばりつき、芝生に陣取った。左右にはカメラを構えたファンがちらほら。いわゆるベストポジションだ。
 しかし朝から意外に日差しが強く、前日とは比べ物にならないくらい暑かった。
 こんなことなら昨日と同じくスタンド席に座ればよかった・・・などと言っても後の祭り。

 その日は第一レースを馬連で当て、なかなか快調な滑り出しを見せた。
 しかし、あとが続かない。どんどん所持金が減っていく。
 メインの函館2歳Sを迎えたころには、全く当たる気がしなくなっていた。
 それでも何とか当てないことには、ウニ丼にありつけない。
 必死で予想をした結果が、一番人気のサマーオブキングスと2番人気のフジノタカネの馬連。
 ダントツ函館リーディングの横山典弘騎手の勢いと、早期デビューの道営・フジノタカネの完成度に賭けたのだが・・・。
 どちらも3着にも入らないとは。
 2歳戦は難しい。つくづく思う。

 金銭的な収穫を得ないまま、私は帰途につくこととなった。
 競馬場から見る函館山の威容、恵まれた気候、それに高レベルの新馬戦の迫力、東西の実力馬・名手の凌ぎ合いの凄まじさ。
 函館競馬、絶品の面白さであった。

第34回函館2歳ステークス結果


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